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多摩川のワンドでヤゴを採集します。(採集しているのは私の友人です)
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コオニヤンマのヤゴです。かなり特異な姿をしています。
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羽化した翌日のクロスジギンヤンマ。
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ヤゴの飼育風景です。ヤゴの飼育専用のアクリルケースを制作してしまいました。(ほとんどビョーキですね。)

002.トンボについて

※東京都-多摩川に生息するトンボ
小さい頃から昆虫に興味があり、特にトンボには特別な思いがあります。私が育った地域には大きな湖がありました。魚やザリガニ、水生昆虫などを捕まえにしょっちゅう遊びに行っていました。湖面を高速で飛行する大型のトンボたちのカッコいい姿は子供たちのあこがれでした。

時を経て、友人と一緒に多摩川をダラダラと散歩していました。その時幼い頃の習性(何かいないかなぁってやつです)から時折コンクリート護岸の側面を見ながら歩いていました。しばらく見ながら歩いていると非常に大きなクモのようなものがへばり付いているのが目につきました。立ち止まってよく見てみると、それはトンボの抜け殻でした。ご存知かもしれませんが、トンボの幼虫はヤゴと言われ水中で生活しています。水中なので当然エラを持っています。成虫になる時陸に上がってきてエラ呼吸を捨て、私たちがよく知るトンボになるのです。その陸上に上がってくる時、自然が豊かならば水生植物などにつかまって羽化するのですが、首都圏の河川や湖沼はほとんど岸がコンクリート護岸化していますので、そういった人工物にしがみついて羽化する場合も多いのです。私が見つけたそのクモのような大きな抜け殻は、帰宅後図鑑で調べてみるとコオニヤンマという種類のトンボでした。この種類のヤゴを見たのはこの時が初めてでした。コオニヤンマのヤゴは数いる日本のトンボの中でも最も変わった形をしているといっても過言ではありません。オニヤンマという名前は有名なのでご存じの方も多いと思います。これは日本で最大のトンボで世界的に見てもかなり大きな種類です。飛行しているところを見るとどなたでもその迫力に驚くことと思います。このオニヤンマに(コ)が付いています。少し小さなオニヤンマといったネーミングでしょうか。よってこの種類もかなりの大きさです。当然のことながらヤゴも大型です。しかも特異な形をしてます。私は多摩川にこんな生き物がいることに驚き同時に実際に生きたものを見たくなりました。後日タモ網を持って多摩川にヤゴを採集しにやってきました。すると様々な種類のヤゴを捕まえることができました。そして色々な種類を飼育してみることにしました。

ヤゴの飼育は簡単ではありません。特別な設備が無くてもプラスチックケースがあれば誰でも簡単に飼育できますが、餌が大変です。彼らは生きたものしか口にしません。というか正確には動いているものに反応するのです。よって死んでいようが生きていようが動いていれば食らいついてきます。(この言い方には若干語弊がありますがまあここは流して下さい。)よって冷凍された生餌などは見向きもしません。動いてなければ駄目です。そこでピンセットなどを使って彼らの目の前で、さも生きているかのように動かす必要があります。これは大変です。そこで釣り具の上州屋さんに行ってタナゴ釣りなどに使用する生きた赤虫を買ってくるのです。そしてこの赤虫を切らさないように保存しておいてヤゴに与えるのです。当時はタナゴ釣りもやっていませんでしたから上州屋さんには釣り具には見向きもせず赤虫のみを買いに行っていました。生きた赤虫は素晴らしいです。ヤゴの飼育ケースに入れておけばヤゴはそれを食べてくれます。生きているので動きますからね。ヤゴは反応してくれるわけです。

そうして飼育していると何回か脱皮を繰り返しある時餌を食べなくなります。羽化準備にかかるわけです。私が多摩川で採集したヤゴの内羽化まで至ったのは、ハグロトンボ、ミヤマアカネ、シオカラトンボ、ギンヤンマ、クロスジギンヤンマ、コヤマトンボ、です。ところで問題のコオニヤンマは・・・。実はこのコオニヤンマ、ヤゴの期間がとっても長いのです。ヤゴのままで2、3年生活します。栄養状態によると思いますが、3年以上ヤゴのままというのもザラだそうです。私が最初に飼育した個体はとても小さな弱齢のヤゴでしたので1年ほど飼育していましたが数回脱皮して少しずつ大きくなったものの途中で死んでしまいました。また、採集してきたものの中に比較的大きなものもいました。これは1年ほど飼育して羽化に至りましたが羽化途中に殻を脱げ切れず死んでしまいました。コオニヤンマはヤゴの時期がとても長いので秋ごろに大型のヤゴ(終齢間近のヤゴ)を採集し翌年の春~初夏にかけて羽化させるのがもっとも飼育及び観察に適していると思います。私はまだ成功していませんけどね。

羽化したトンボたちをどうするかと言いますと、もちろんすぐに外に逃がしてしまいます。トンボ(成虫)は飼育することができませんから。また、ヤゴの採集地多摩川から我が家まではかなり離れていますが、そんなことは問題ではありません。トンボは飛ぶ生き物です。小さな虫といえども飛翔能力は私たちの想像を超えてます。一般にはあまり知られていませんが、ごく普通に見るトンボでも海を越えて海外から飛来してくるものもいるのです。

水辺に生きる昆虫は水環境にとって魚類以上に大変重要な役目があります。その中でもトンボはその生活史において水質浄化に欠かせない生き物であると感じます。この点に関してはまた別のページで・・・・。

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