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たまたま釣れてしまった立派なヘラブナ。(タナゴ釣りをしている者からすれば超重量級です。2012.4.7に採集。)
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特徴的な顔立ちです。植物性プランクトン食という食性からでしょうか?
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とってもきれいな鱗です。側線やその孔もよくわかります。側線鱗は30枚でしょうか。
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産卵真っ最中なようです(2012.4.7)。バシャバシャとかなり激しい音がします。これを「ハタキ」と言うそうです。

a005.ヘラブナ(ゲンゴロウブナの品種改良したもの)

(分類)コイ目コイ科コイ亜科フナ属
(学名)ゲンゴロウブナ(Carassius cuvieri)
(採集地)福岡県-遠賀川周辺,茨城県-霞ヶ浦

本格的なヘラブナを初めて釣ったのは九州に行った時でした。タナゴ類が沢山釣れる池でかかりました。私の装備は当然タナゴ用ですから、40cm近くもある超重量級の個体をまともに釣り上げることはできません。ゆっくりと手の届く所まで誘導して、素手で捕まえました。その時は網も持ち合わせていなかったのです。最初はかなり暴れていましたが、あまりグイグイ引き寄せたりしないで好きにさせていると、手元まで来る頃にはおとなしくなって、結構簡単に素手でも捕獲できました。竿は2.4m、針はテトロン糸(よく切れなかったなぁ)の秋田狐1号です。大型のカネヒラやヤリタナゴが掛かると予想していたので、たまたま大きめの針をセットしていたのが幸を奏したようです。写真撮影をしてすぐにリリースしましたが、その時見た大きな鱗の美しさに驚きました。魚が水の流れなどを感じる器官と言われている側線鱗の穴もとってもよくわかります。またこの種類の特徴である下の方についた目が印象的でした。コイ科の仲間でもハクレンなどはヘラブナの顔つきによく似ています。草食性が強く、植物性プランクトンを主に節食していた結果、このような独特な顔つきになっていったのでしょうか?

ところで、私が釣り上げた唯一の大型個体は、冬季に放流されたばかりの「新ベラ」と呼ばれるものかもしれません。放流されたものは養殖のため、人が与える餌に慣れています。それゆえ釣りやすいと言われているのです。

春の産卵期には岸近くの水草が生えているような浅場に集まってバシャバシャと音をたてながら産卵します。この様子からこれを「ハタキ」 と呼びます。産卵期にその周辺でタナゴ釣りをしているとハタキの音の激しさに驚かされます。

大型のフナやコイは釣りや食用として利用価値が高いため、それらが環境に与える影響をあまり考慮せず、安易な放流をしてきたのではないでしょうか。温和なフナ類は、いつも低層にあるものを泥や砂利ごと口に入れてモグモグやっている無害な魚という印象があります。その環境にあった個体数ならいいのですが、大量にいたらこれはかなりの問題になると思います。浅瀬に生える水草はどんどん食べられ、低層に着生した植物も泥ごと口に入れて根こそぎこしとられてしまいます。また砂のなかにいるであろう貝類の幼生等も食べられてしまいます。固い殻があるから大丈夫なんてことはありません。彼らの喉の奥には咽頭歯という強力な武器があり、バリバリと粉砕して食べてしまうのです。溜め池などで水質が悪化し藻類が異常繁殖したような場所に彼らを導入すると、それらをどんどん食べてくれるため環境がよくなると言います。しかしもともとそんなに富栄養化していない生態系のバランスが取れた場所では、放流された彼らの影響力がとても大きくなります。ブルーギルやブラックバス等の魚食系の魚は、性質上小魚を追い回すため生態系に与える影響がクローズアップされがちです。肉食系の魚は環境そのものを変化させるほどの影響力は意外と少ないような気がします。逆に草食系のフナやコイは水質浄化に欠かせない水生植物や貝類などを大量に捕食するためとても問題がありそうです。ヘラブナは一般的に植物プランクトンが主食のようなので一概に当てはまらないかもしれませんが、彼らを大きく丸々太った見事な個体に育てるためには植物プランクトンが多く発生する富栄養化した場所が必要不可欠です。管理養殖場ならばいざ知らず、自然環境でこんなに丸々太ったヘラブナが沢山いるはずはありません。もし沢山いるようならばその場所は特殊な環境であると言えそうです。

利用価値が高い魚とそうでない魚・・・・環境に与える影響はもう少し広い視野で考える必要がありそうです。フナやコイは決して悪くありません。環境を思うあまり規制しすぎるのはよくないと思いますが、彼らを悪者扱いにしないためにも人為的に大量に放流するのはよくよく考えるべきかと思えてなりません。

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