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飼育中のオス(福岡県-遠賀川水系にて採集)
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飼育中のオス、貫禄充分です(茨城県-霞ヶ浦周辺にて採集)
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飼育中のメス。チョロッと産卵管が・・・(福岡県-遠賀川水系にて採集)
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背びれ(この紡錘型の暗色斑ですぐにヤリタナゴと分かります)
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追星!

005.ヤリタナゴ(2013.2.24時点)

(分類)コイ目コイ科タナゴ亜科アブラボテ属
(学名)Tanakia lanceolata
(採集地)茨城県-霞ヶ浦周辺、福岡県-遠賀川周辺、福井県-九頭竜川周辺、石川県-小松市周辺

飼育を始めて2年ほど経過して彼らのことが少しずつ分かってきました。といっても水槽内の狭い空間での飼育ですから、ごく表面的なことですけど。以下に私が気がついたことを書いてみます。

※補食について。
彼らは選り好みせず何でもよく食べますが、特筆すべきは、一度口に入れたものを吐き出す行為がほとんどないことです。通常、少し大きいものや固いものは、その個体の口にあった状態になるまで何度か吐き出したりしながら食べることが多いのです。バラタナゴ属やタナゴ属に比べてアブラボテ属のヤリタナゴはとりあえず口に入るだけほお張って、咽頭歯で砕いている間もそれを吐き出したりしません。もちろん個体差はありますので、全てがそうだと言っている訳ではありません。あくまでその傾向があるということです。その理由として考えられるのは、

1. 流水域では、一度口にしたものを吐き出してしまうと流れてしまうため再び捕食できるかどうか分かりません。流れた餌は他の魚にすぐに捕食されてしまでしょう。一度とらえた食べ物は絶対に放さないぞって言う意気込みがあるんですかねぇ。止水域に比べ流水域では運動機能が高いことはもちろん、とらえたら逃さない執念がないと生き残れないということでしょうか。彼らの生活領域はほとんどが流れのある場所のため流水環境に適応していると考えられます。

2. 口から咽頭歯までの距離が長く一時貯蔵できるスペースが大きいのかもしれません。また、体(臓器)が柔軟で「ほお張り」がきくという表現が正しいかもしれません。私は解剖をしたことはありませんが、図鑑などの情報によると腸が特別長い種類という訳でもないのに臓器のボリュームが結構あります。以前に河川にて10cmを越える充実した個体を釣った時に思ったのですが、体の厚みがあり手に持った感じはまさにフナを思わせる雰囲気でした。明らかにバラタナゴ属やタナゴ属とは異なる体型をしています。また、ヤリタナゴと同じ属のアブラボテを釣った時にも感じましたが、体の厚みがタナゴの仲間の中では群を抜いています。ヤリタナゴと同じような体型のアカヒレタビラと比較してもさらに一層分ぐらい厚みがある印象です。まあ少なくとも平べったい印象はこの種類にはありませんね。

3.バラタナゴ属やタナゴ属に比べて咽頭歯が発達しているのではないでしょうか。ご存じのようにコイ科の魚は胃がありません。食物は口から入って咽頭歯で砕かれて腸に運ばれます。咽頭歯のポテンシャルが高ければそれだけ捕食ペースも早いはずです。

以上、今私が考えられる理由を書いてみました。そういえば、ただ単に食いしん坊なだけって理由もありましたね。狭い水槽で数種のタナゴ類を一緒に飼育していると、大抵は彼らの体つきが最も充実していきます。言いかえるとメタボボディになってしまうのです。更に食いしん坊なエピソードとしては、夏季の高活性時に釣りをしていると針の飲み込み率がとても高いのです。アタリに対してゆっくり合わせていると飲み込んでしまうことが多いようです。この場合、返しが付いている針では彼らを傷つけてしまうのでスレ針で対応する必要があります。

※縄張り意識について。
複数種のタナゴ類を入れた水槽で飼育していると、彼らはかなり温和な種類であることが分かります。当然自己主張するものもいますが、執拗に追い回すような感じではないような気がします。環境に対してあまりこだわりがないのかもしれません。狭い水槽では多数飼育するとかなり平和的にお互いの関係を保つようです。但しとても活発なので、多数飼育では水質の悪化が早く、PHの低下に気をつける必要があります。ちなみに成熟した雄を3匹ほど狭い水槽で飼育すると他のタナゴ類同様、弱いものが徹底的につつかれてしまうことがあります。障害物を入れて隠れる所を作ることはもちろんですが、成熟した雄を少ない匹数で小スペース飼育するのは非常に難しいと思います。これはタナゴ類全般に言えることなので特筆することはないのですが。(種の性質とは別に個々にも性格がありますので一概には言えませんけどね・・・。)

※彼らの顔にあるヒゲについて。
私は今までに茨城県、福井県、石川県、福岡県で彼らを釣った経験があります。その地域の個体を個々の水槽に分けて飼育しています。明らかな特徴差と言うものは見受けられませんが、この髭に関しては福岡県のものが若干長いような気がします。個体差があるので一概には言えませんが、福井県や石川県のものは逆に短い印象です。地域差は「そんな気がする」程度の差ですが、タナゴ類の中で比較すれば断トツ{ヒゲコンテスト「No.1」}です。(同属のアブラボテも長いですけど。)この髭はどのような感覚器官なのでしょうか?様々なことが言われていますが、よくわかっていないのが実情のようです。タナゴ類でもヒゲの無いものや短いものなど様々ですが、彼らの活動様式に関係があるかもしれません。まあ、人間の想像を越えた感覚を持ちわせているのかもですね。個人的にはこのヒゲはコミュニケーションに利用されていると面白いなぁと思います。ヤリタナゴ同士やヤリタナゴと貝、なんて具合にお互いに情報交換していると面白いですねぇ。日本国内において最も分布域が広い彼らですからまんざらでもないかもしれませんよ~。情報は力なりってね。

※婚姻色について。
何と言っても尻ビレの赤が特徴的です。その赤も朱色と言う表現が適当かもしれません。成熟した雄を釣りあげた時の印象が婚姻色を発してなくても赤く感じるのが不思議です。彼らは赤を発する色素を多く持っているのでしょうか。発色する部位としては、背びれの上部、尻ビレの下部(最下端部は黒)、尾びれの中央部等が顕著です。腹部から顔にかけて黒くなり朱色とのコントラストが見事です。飼育していても容易に婚姻色を発するため、観賞魚として魅力十分です。ちなみに雌もヒレが多少赤く色付きます。

※身体能力について。
タナゴ類の中では泳力がずば抜けてます。おそらく短距離、長距離ともにタナゴ類No.1でしょうね、測定したわけではありませんけど。マタナゴやタビラ類も瞬間的なスピードは相当速いとは思いますが・・・まあ、ヤリタナゴさんには総合力で遠く及ばないと思われます。どんな体制からでも緊急対応できる柔軟な筋肉を持ち合わせている印象があります。体つきからしてスタミナもありそうですね。日本全国に分布を広げただけの実績が物語っております。(ちなみにマタナゴやタビラ類は体が硬そうに思うのは私だけでしょうか。現に彼らの分布域は限定的であります。)

※産卵について。
雌の産卵管が中々伸びてくれません。たまに長く伸びる個体がいますが、どんな要因で伸びたのか分かりません。すぐに引っ込んでしまいますし・・・。ホルモン分泌を促進するトリガーは何でしょうかね。水温、日照時間、水流、貝の匂い、PH、雄のフェロモン量、栄養状態、ある特定の水生植物が出す匂い、水中に含まれる特定の珪藻類の割合・・・・・う~ん分かりません。ひょっとすると予想だにしない要因が・・・・。例えば、長いヒゲを使って2枚貝に移した過去の記憶とか・・・・何てね。こんなことを妄想していると面白いんですよね。

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